中等教育における研究倫理:基礎編 p4

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(ウ)研究を実施するうえでの生徒と指導者の役割
1)研究を行う生徒rse01_05

研究を行う生徒には、研究活動の中で行う研究の計画、観察や実験、新たな装置や技術の開発、データの分析、レポート作成などの研究成果の発表に対するすべての責任があります。そのため、研究における心得を十分に理解するとともに、ルールを学ぶ必要があります。特に「特定不正行為」と定義されているねつ造、改ざん、盗用は、いかなる場合にも認められません。また、研究を安全に進めるうえで欠かせない事前トレーニングを、研究の指導者や研究分野に精通している専門家から受けるようにします。

2)研究の指導者

研究の指導者とは、研究活動を日常的に行う人や学校の教員を指します。研究の指導者には、研究を行う生徒の健康と安全へ配慮し、研究対象となる人間や動物を適切に扱うよう指導監督する義務があります。特に、新たに科学や技術に関連する研究をはじめる生徒に対しては、必要な実験設備や装置および研究対象についての教育訓練を適切に行うことが求められます。もし、危険を伴う可能性のある研究を指導する場合は、その危険性について熟知している必要があります。これらの知識が乏しい場合には、「研究分野に精通している専門家」の協力を得て研究を進めるようにしましょう。研究の指導に際して、ねつ造、改ざん、盗用といった「特定研究不正」を行わないように教育したうえで、事後のチェックも怠らないようにします。

3)研究分野に精通している専門家

研究分野に精通している専門家とは、その研究での十分な経験を有し、生徒の行う研究について起こりうる可能性のある危険性を熟知している者を指します。必要に応じて安全に研究が行えるようにアドバイスします。場合によっては、「研究の指導者」と兼ねることもあります。