中等教育における研究倫理:基礎編 – コラム

コラム:統計と研究不正

科学的な実験の結果として得られるデータが毎回同じ値になることはありません。様々な理由でデータには揺らぎが含まれるからです。だからこそ、実験を行う際には複数回の試行が必要になります。そして、そのように揺らぎを伴うデータを整理するために、統計が必要なのです。

統計は結果の持つ意味を客観的に示すために用いますが、それを悪用した不正行為もあります。最近はパソコン上でデータを処理するため、手書きのグラフで最小二乗法の直線を都合よく引くといったような不正行為は少なくなってきました。しかし、自分が伝えたい主張に合うように、もしくは実験の精度を良く見せるために、データの段階から結果を取捨選択するという不正行為もあります。また、画像編集ソフトを用いて得られたグラフ画像に手を加え、エラーバーを調整してしまうといった不正行為もあります。統計は研究の結果を客観的に示す手段として有用ですが、それを逆手にとって、成果をねつ造したり、改ざんしたりすることもできてしまうのです。

思うような結果が出ない場合でも、ひょっとしたら自分の分析のやり方や計算ミスが原因なのかもしれません。不正へと走る前に、周りの友達や先生に相談してみましょう。