信州大学医学部 公正研究推進講座[設置期間:2025年度~2027年度]

APRIN寄附講座《公正研究推進講座》 研究倫理教育と所属教員の活動記録

福嶋義光1,3,市川家國1,3 ,野内玲2,樋笠知恵1,3 ,片上幸美1,3
1 信州大学医学部公正研究推進講座,2 広島大学高等教育研究開発センター(RIHE),
3 一般財団法人公正研究推進協会(APRIN)

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※「SOAR」から信州大学学術オンラインシステムの研究者総覧ページをご覧いただけます。

教授(責任教員) 奥山 隆平
特任教授(実施責任者)福嶋 義光SOAR
招待教授市川 家國                            
助教(特定雇用)        樋笠 知恵       SOAR
助教(特定雇用)片上 幸美SOAR

信州大学では、第1期(2019〜2021年度)、第2期(2022〜2024年度)に引き続き第3期(2025〜2027年度)も、一般財団法人公正研究推進協会(APRIN)から寄附講座を受託することとなり、信州大学医学部公正研究推進講座の活動を継続することができている。 第3期においては、寄附講座の募集が公募となったので、今までの成果をまとめ公募申請書には、以下の内容を記載した。現在までのところこの申請書に従った活動を継続しており、得られた成果は逐時、本サイトに掲載する予定である。

背景
信州大学は全国で初めて1996年に遺伝子医療部門を設置し、その実績に基づき文科省・厚労省・経産省「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」(2001年)の策定に関与するとともに全国遺伝子医療部門連絡会議(全遺連)を組織した。

研究倫理教育では、全国に先がけ2011年からCITI eラーニングを大学院の必修科目に位置づけ、2012年からは文科省の事業としてCITI Japan プロジェクトに発展させた。2017年に事業を移転させた維持機関会員制度によるAPRINの運営形態は全遺連の方式に倣ったものである。2019年から2期6年活動してきた寄附講座はAPRINの全ての事業に関与し、その発展に貢献している。

目的
公正研究の推進にアカデミアからの支援は必須である。CITI Japan プロジェクトをスタートさせた信州大学では、APRINに事業を継承してからも寄附講座を設置し、APRINの研究員を助教として採用することにより、eラーニング教材の質の向上と普及に寄与してきた。

寄附講座の助教としての経験はわが国には極めて少ない研究公正分野の人材育成の場にもなっており、すでに2名の研究者が他大学の常勤職として招かれている。現在在席している2名の助教もAPRINの屋台骨を支える活躍をし、わが国の研究公正の発展に寄与しており、これからも安定して活躍していただくためには、寄附講座の継続は必須である。

教材開発
これまでのわが国の研究倫理教材は、散発的に発出される法律・指針等の励行を説く類のものであったが、われわれは、研究の価値という基本的な考え方から、より良い社会への貢献の方法としての研究学習教材の作成を行ってきた。

公正研究において必要とされる教育内容は常に変化しており、新しい分野の教材を開発するだけではなく、すでに存在する教材も頻繁に見直していく必要がある。国の通達を待つのではなく、国内外の情報を常に収集し、いち早く、APRIN利用者に提供することにより、国際標準の公正研究の維持・増進を図ることに寄与していきたい。

教育方法の改善
教育で必要とされる知識・技能・態度の3要素のうち、知識レベルの向上にeラーニングは有用ではあるが、限界がある。技能および態度レベルの向上のためには、双方向の教育方法を導入することが望まれる。

信州大学大学院では、白黒をはっきりすることの難しい事例について、ZOOMのブレイクアウトルームを用いて、少人数(1チーム、5-6人)で議論する授業(Small Group Discussion)を行っており、eAPRINの理解を深めるとともに、教育方法の改善を図っている。SGDに相応しい事例教材を開発するとともに、SGD教育を good practice として普及させていくための広報活動を行う。

人材育成
寄附講座で雇用する助教は、新しい教材の原案作成、査読委員会の取りまとめ、各種委員会・分科会への参加などAPRINのほとんど全ての活動に関与する。これらの経験により、公正研究についての幅広い知識が得られ、アカデミアにおけるステップアップの機会となる。

現在、研究公正についての様々な相談に対応することのできる人材を全国規模で育成するための認定研究公正アドバイザー(CRIA)制度の準備を開始しており、寄附講座はこの制度を運営する活動の中核を担っている。将来的には、CRIA資格保持者が加盟する横断的な組織を作り、人材バンクの機能を果たせるよう支援していきたい。

本ページでは、公正研究推進講座の所属教員が外部資金を得て行った研究(研究倫理・研究公正に関わるもの)の成果をご紹介します。第1期(2019〜2021年度)、第2期(2022〜2024年度)の成果については、研究代表者の先生のご承諾を得てご紹介させていただきます。

■ 研究機関の研究支援ガイドラインの構築に関する国際調査研究
(AMED研究公正高度化モデル開発支援事業)(2019-2021年度) 

研究代表者:野内玲(広島大学)、三宅雅人(立命館大学)、村澤昌崇(広島大学)
      【研究開発実施時:野内玲(信州大学)、三宅雅人(奈良先端科学技術大学院大学)、村澤昌崇(広島大学)】

本研究では医療系研究機関の研究風土(Research Climate)と研究支援の体制を調査しました。ここで「研究風土」は、研究機関のメンバーが公正な研究活動に関して行う組織的行為で形成されるものを指します。 本研究では、研究活動の国際情勢を動的に取り込んだ研究風土という点に着眼し、国内外の機関調査を通して研究支援者の支援体制のガイドラインの日本語版と英語版を構築しました。

本ガイドラインの作成のステップ

– 日本及び諸外国の研究倫理・研究公正文書や研究論文の調査
– アンケート&インタビュー項目検討のための予備調査
– アンケート&インタビュー項目の検討・作成
– アンケート&インタビュー実施のための研究倫理委員会審査
– webアンケートの実施、インタビューのため訪問orビデオ会議
– ガイドライン素案作成
– 国内外の研究者・研究支援者によるガイドライン検討委員会
– ガイドライン取りまとめ

調査の中で、研究機関における研究倫理・研究公正の取り組みは、研究機関の中の特定の職種・役職の方だけで実施するものではないことが判明しました。

研究者・研究支援者・機関の執行部など、それぞれのメンバーがそれぞれの立場から成し得ることがあります。また、その実施に際しても、研究機関の規模や構成、考え方、人材配置によって異なる施策があり得ます。

そのため、本ガイドラインは研究風土の醸成に向けた、あらゆる研究機関に共通した「一本の道筋を示す」ものではなく、各研究機関のそれぞれのメンバーが自身の置かれた役割に応じて、実施可能な取り組みを「引き出す」手助けをするものとなることを目指しました。

ガイドラインの構成

本ガイドラインは各章が「1. チェックリスト」「2. アクションプラン」「3. 取り組み例」にて構成されています。

  • チェックリスト:研究機関において実施すべき、もしくは実施することが推奨される事項
  • アクションプラン:チェックリストに該当しない事項があった場合に、当該事項が必要な背景や根拠を示し、その事項により達成可能な取り組みを示す。
  • 取り組み例:国内外の研究機関で実際に実施されている事例の紹介

ガイドラインの継続的な更新(2026.6.29現在)

AMED研究開発の事業期間中に実施した調査から5年程が経過しました。
その後も、研究インテグリティ、ELSI/RRI、生成AI、オープンサイエンスなど、研究環境を取り巻くいくつかのキーワードを頻繁に目にするようになりました。これらの事項に関する記載を加筆した第二版の作成を進めています。

その他、ご意見や関連する情報をお持ちでしたら、野内玲(nouchi[at]hirosima-u.ac.jp)までご連絡ください。

信州大学医学部 公正研究推進講座(寄附講座)事務局

Webサイト:
 信州大学医学部公正研究推進講座
 信州大学医学部公正研究推進講座 AMED事業研究者皆学修プロジェクト

〒390-8621 長野県松本市旭3-1-1
TEL:0263-37-2352 / FAX 0263-37-3436
MAIL:kouseiken[at]shinshu-u.ac.jp ※[at]は@に変換してください