中等教育における研究倫理:基礎編 p8

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(ウ)研究の成果公開について

誠実な研究活動によって生まれた研究成果は、研究を行った人の知的好奇心を満たすだけではなく、社会の集団的な知識として活かされるべきです。また、その技術応用が豊かな社会生活につながることも期待されます。したがって、研究成果は、口頭やポスターによる発表、研究レポート、インターネットなどを通じて多くの人に正しく伝える必要があります。

そのうえで注意すべき点を述べます。
1)研究成果の過度なアピールは避ける

成果を公開するときには、研究結果を正確に表現することが重要です。データをねつ造・改ざんしないことはもちろんのこと、研究結果に示されていないことまで結論を大げさに述べることは差し控えましょう。また、研究レポートには、誰もが研究を再現できるように実施した状況を具体的に記述しておきましょう。

なお、研究によっては特許性のある成果が得られることもあるでしょう。そのような成果を特許申請する場合は、研究の指導者や特許に精通した専門家と相談し、原則、研究成果の公表の前日までに手続きを済ませましょう。

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2)研究に貢献した人

一緒に研究活動を行った人だけを発表のメンバーとするのが一般的です。一緒に研究を行ったわけではないが研究のお手伝いをした人の場合には謝辞に名前を入れるなどの対応をしたほうがよいでしょう。

3)研究費の助成を受けた場合

研究を行うにあたって、学校や財団などから研究費の助成を受けた場合には謝辞にそのことを書く必要があります。

共著者や謝辞の記載ルールは、発表媒体の規程や研究分野の慣行、学校での方針により異なっていることも考えられます。どのようにしたらよいか、発表をする前に研究の指導者に相談しましょう。

4)不誠実な研究活動の例
  • Aさんは、ホームページを検索して興味深い研究を見つけました。同じ実験を実際にやってみましたが、その先行研究を引用しないで、自分が発見したように発表を行いました。
  • 学校で先輩の研究を引き継ぎましたが、先輩が発見した内容を含めてすべて自分が発見したように発表しました。
  • 研究を行う生徒が考案した試作品をクラスの友達に試してもらいましたが、事前に危険性について十分説明していませんでした。
  • 自作した測定装置は正しい値を表示するものと考え、正しい値が出るように校正を行わず、得られた値をそのまま発表しました。
  • 農薬の影響を調べるためにカエルを研究に用いましたが、脊椎動物を使わない方法の検討を行いませんでした。
  • 化石の採集に出かけたが売店で興味深い化石が売られていたので、それを購入し、自分が発見したように報告しました。
  • アンケート調査で個人情報を集める際、本人から同意書を取らず、また個人が特定される形でデータ処理を行いました。
  • 英語での研究発表を行うことになりましたが、発表当日が学校行事と重なってしまったので、英語の得意な友人に代わりに発表してもらいました。